Home > Calculator > Noise figure Archive

Noise figure Archive

NF<3dBの効果について

以前のエントリーで雑音指数と等価入力雑音、信号源抵抗の関係について書きました。本エントリーでは雑音指数 NF=3dB を掘り下げようと思います。

図1の回路を用い、雑音指数と等価入力雑音、信号源抵抗の関係は前エントリーで説明しました。すなわち、

Noiseless-amplifier.png


図1
\left.\begin{eqnarray}&nbsp;&nbsp;&nbsp; NF&amp;=&amp;10log_{10}F\\ &amp;=&amp;10log_{10}\frac{Es^2+En^2+In^2Rs^2}{Es^2}\end{eqnarray}...(式1)

式1で増幅器の雑音に関係する項をEn_{{\tiny AMP}とすれば、

{En_{{\tiny AMP}}}^2=En^2+In^2Rs^2

ここでNF=3dBとします。すなわち、

3dB=10log_{10}\frac{Es^2+Eni^2}{Es^2}...(式2)

式2が成り立つには信号源抵抗熱雑音と増幅器の雑音は等しい関係にあります。
全体の雑音電圧をEnoとすると、

\left.\begin{eqnarray}&nbsp;&nbsp;&nbsp; Eno^2&amp;=&amp;2Es^2\\Eno&amp;=&amp;\sqrt{2}Es(=\sqrt{2}{En_{{\tiny AMP}})\end{eqnarray}...(式3)

以上より、雑音指数が3dBは信号源と増幅器が同じ雑音を出し、全体の雑音はそれぞれの雑音のsqrt{2}倍であることが分かります。

実際の回路設計のことを考えてみましょう。
増幅器の回路設計に苦心し、仮に増幅器の雑音がNF=3dB時より1/10まで下がったとします。

Eno^2=\frac{Es^2+0.1Eni^2}{Es^2}
\left.\begin{eqnarray}&nbsp;&nbsp;&nbsp; Eno^2&amp;=&amp;1.1Es^2\\Eno&amp;=&amp;\sqrt{1.1}Es(=\sqrt{1.1}{En_{{\tiny AMP}})\end{eqnarray}...(式4)

式3と式4を比較すると、雑音電圧はNF=3dBのときから約{\frac{1} {sqrt{2}}}(=0.707)倍しか改善されません。苦心して信号源の雑音より増幅器の雑音を下げNFを3dB以下にしても信号対雑音比で考えれば得るものは少ないというのが分かると思います。

参考文献
低雑音電子回路の設計 Motchenbacher/Fitchen著 斉藤正男監訳

雑音指数と等価入力雑音、信号源抵抗の関係

 増幅器の雑音に対する性能の良さを評価する指標として雑音指数(NF)を取り扱うことがあります。しかし雑音指数が**dBと言われてもピンときません。私たちが回路設計するときは等価入力雑音電圧/等価入力雑音電流/信号源抵抗の絶対値の方が使い慣れています。本エントリーでは雑音指数と各雑音源/信号源抵抗値の関係について調べていきたいと思います。


 便宜上、本エントリーでは雑音係数を"F" その対数10 log_{10} Fを"NF"とします。雑音係数/雑音指数は、

\left\{ \Large\left.\begin{eqnarray}&nbsp;&nbsp;&nbsp; F&amp;=&amp;\frac{Si/So}{So/No}\\NF&amp;=&amp;10log_{10}F\end{eqnarray}...(式1)


雑音指数NFは増幅器を通過した後、信号対雑音比が悪化する程度を示しています。増幅器の雑音がゼロの理想増幅器ならば雑音係数F=1→NF=0dBです。

式1をわかりやすい形に変形します。

F={\frac{No}{Ni}} \cdot {\frac{Si}{So}}...(式2)


\frac{Si}{So}は増幅器の利得分の1ですから、No \cdot \frac{Si}{So}は全等価入力雑音を表しています。

IEEE基準では雑音係数Fは標準温度290[°K]の環境下で増幅システム等の単位帯域幅あたりの雑音電力を入力端子に接続されている信号源抵抗で発生する雑音電力の比であるとしています。これは式2と同意で、
F=[全等価入力雑音電力]÷[信号源抵抗で発生する雑音電力] であることが分かると思います。

Noiseless-amplifier.png
図1


 図1は増幅器で発生する雑音を入力端子に接続されるEn,Inで表し、更にその増幅器の入力端子へ信号源抵抗Rsとその雑音源Esが接続された状態を示しています。これより全等価入力雑音をEniとすると、

Eni^2 = Es^2 + En^2 + In^2 Rs^2

すなわち、

\Large\left.\begin{eqnarray}&nbsp;&nbsp;&nbsp; NF&amp;=&amp;10log_{10}F\\ &amp;=&amp;10log_{10}\frac{Es^2+En^2+In^2Rs^2}{Es^2}\end{eqnarray}...(式3)


式3で使い慣れた全等価入力雑音と信号源抵抗の関係が導き出されました。

これをグラフで図示して更に分かりやすくしてみましょう。

Vni_vs_Rs.png


グラフ1


 グラフ1は横軸に信号源抵抗:Rs、縦軸は雑音とし式3の各雑音源をプロットしたものです。比較しやすいように等価入力雑音:En=10nV/√Hz、In=4pA/√Hzで与え、雑音帯域幅はΔf=1Hzです。等価入力雑音:Enは信号源抵抗に関係ありませんので一定です。等価入力雑音電流は信号源抵抗:Rsで雑音電圧になりInRsは信号源抵抗が大きくなると増加します。全等価入力雑音:EniはEnとInRsの関数です。
 雑音指数は全等価入力雑音と信号源抵抗の熱雑音の比としました。(青線と黒線の比)このグラフより信号源抵抗が小さい場合はこの比が大きくなりNFは悪化します。En=InRsの信号源抵抗でその比は最小になりNFの最小値がここにあります。信号源抵抗を更に大きくするとEniはInRsに沿って大きくなりますので再びNFは悪化します。これらの関係が直感的に分かるとNF=**dBの増幅器回路設計が身近になると思います。

 NFが最小になる信号源抵抗:Roは重要です。この値の時に信号源抵抗の熱雑音に加えられる増幅器の雑音が最小になります。このRoは、

Ro=\frac{En}{In}...(式4)

グラフ1の場合は10nV/4pA=2.5kΩが求まります。
このときの雑音係数をFoptとし、式3を更に整理すると、

F_{opt}=1+\frac{EnIn}{2kT \Delta f}...(式5)


雑音指数の変化をグラフ2へ示します。式5の雑音指数はグラフの最下部(Rs/Ro=1)の値です。

NF_vs_Rs.png


グラフ2


 以下は等価入力雑音電圧、等価入力雑音電流から最適信号源抵抗、雑音指数をもとめるスクリプトです。お役にたてたら幸いです。

Web Calculator

JavaScript対応ブラウザで表示してください

等価入力雑音電圧[V]:
等価入力雑音電流[A]:

最適信号源抵抗[Ω]:
雑音指数[dB]:




参考文献
低雑音電子回路の設計 Motchenbacher/Fitchen著 斉藤正男監訳

Index of all entries

Home > Calculator > Noise figure Archive

Search
Feeds
Tag Cloud
About Me

山梨県韮崎市生まれ

玉川大学情報通信工学科を卒業後 アナログIC設計開発に従事

2002年故郷へ戻り起業

Links
Tag Cloud

Return to page top